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作陶とヘビメタと「纏うカタチ」— 創作のバランスを求めて

庄村健が作る作品:藍染鉢「薫風」
藍染鉢「薫風」
庄村健が作る壺:紅染壺
紅染壺

 

庄村健・庄村久喜作陶展 -継ぐ、創る- が無事に終了し、有田へ戻りました。

 ご来場いただいた皆さま、そして日頃から応援してくださる皆さまに心より感謝申し上げます。

 

今回の展示では、庄村健の藍染・紅染の表現の素晴らしさを改めて実感された方が多く、

また、庄村久喜の作品「纏うカタチ」も高く評価されました。

一般のお客様のみならず、美術関係者からも多くの称賛の声をいただき、大変嬉しく思っています。

 

そんな中、ある美術関係者から言われたひと言が印象に残りました。

 

「庄村久喜さんは、ストイックな作品を作りますよね…」

 

この言葉を聞いた瞬間、私の脳内では様々な思考が巡りました・・・

確かに、白妙彩磁の作品は柔らかく心地よい形を追求するために、制作過程で極限の集中力を求められます。

完璧なものを目指すからこそ、強いプレッシャーを感じながら作業をしている。

しかし、自分自身を“ストイック”だと思って制作したことはほとんどありませんでした。

もちろん、そう説明したことはありますが…。

ふと、制作中によく聴く音楽のことを思い出しました。

そういえば、ヘビーメタルを聴きながら作業することが多い…(笑)。好きなんですよね。

もしかしたら、破壊的な音楽を聴くことで、ストイックな仕事からのストレスを緩和していたのかも・・・

なるほどねぇ。。。

 

会話は続きました。

 

「…ストイックな作品を作っていますよね。でも、この『纏うカタチ』は意外でした。こんな表現もするんですね!」

 

その瞬間、まるで雷が落ちたような衝撃が走りました。

「纏うカタチ」を表現することは、私にとってヘビメタを聴くことと同じなのではないか?

私は常に“健康的な制作”をしたいと考えていました。これまでの制作が“不健康”だとは思いません。

でも、なぜかずっと「健康的に制作したい」という思いがあったのです。

そして、その答えが「纏うカタチ」だったのかもしれない。

この表現をすることで、今とてもワクワクしながら作品を生み出せています。

これこそが、私が求めていたものだったのです。

一つの表現を生涯かけて追求し続けることは素晴らしいと思います。

でも、私にはできません。なぜなら、私は欲張りだから・・・(笑)

和食も洋食も好き。甘いものも辛いものも好き。そんな人間だからこそ、

バランスを取るために「纏うカタチ」を生み出したのだと思います。

 

繊細さと大胆さ——この相反する二つの表現を、心のバランスを保ちながらこれからも追求していく。

それが、庄村久喜という人間なのです。

そんな気づきに満ちた一週間でした。

 

次回は8月末に開催予定。場所は広島です。

詳細はまたいつか。

 

庄村久喜が作る白磁:柔らかく心地よい形を追求している
白妙彩磁壺
庄村久喜が作り出す白磁の茶碗:纏うカタチという表現で大胆な造形が特徴
茶盌「白を纏う」