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古の白磁に挑む!…が、結果オーライ?

白磁鉢:庄村久喜が制作した白磁の鉢。定窯白磁を思いうかべるような白磁。
白磁鉢

 

 

日本橋三越での展覧会が近づき、作品リスト作成や作品梱包に追われてバタバタしています。

 

今回の展覧会では、庄村久喜作品のひとつとして、王道の白磁を発表します。

 

有田の高度なろくろ技術を駆使した、精密で薄手の仕上がり。目指したのは、中国陶磁、白磁の最高峰とも称される「定窯白磁」です。

 

定窯白磁は、宋時代の白磁で、アイボリー色のやわらかな釉調と薄手のボディが特徴で朝廷への献納品としても用いられていました。

 

しかし、美術館なでにある現存する作品にはバラつきがあり、焼き上がりや色調もまちまち。

 

当時の技術では、磁器を安定して焼成するのは至難の業だったのでしょう。

 

そんな定窯白磁を研究し、粘土や釉薬を分析しながら数年前から再現を試していました。

 

しかし、「そもそも、宋年代のどの時期の定窯を再現するのか?」という大きな問題に直面しました(それくらい雰囲気にばらつきがあるのよね・・)

 

さらに、当時の還元焼成の不安定さを考えると、完全な再現はほぼ不可能…。

 

そこで、私なりの“定窯白磁の本質”を抽出することにしました。

 

それが、「アイボリー色」と「薄手」の二つの要素です。

 

薄手に制作することは、任せてください! (有田のろくろ技術に感謝!!)

 

また、

 

アイボリー色を出すために酸化焼成を試み、釉薬の配合も何度もテスト。これも得意分野! (大学での化学実験に感謝!!)

 

しかし、「それっぽい」ものはできても、どうも品格が感じられない・・・。

 

照りが強すぎたり、柔らかいようで硬かったり…。

 

当時の、それも現地にあったであろう自然鉱物、自然原料を使わないと完全再現は困難・・・。

 

結局、行き着いたのは、普段から私が使っている独自の白磁釉薬でした。

 

 

そして、いざ焼いてみると、

 

・・・・

 

意外にも良い仕上がりに!

 

品格を感じる、柔らかく優しい光沢! 

 

良い良い!!

 

つまり、遠回りしたけれど・・・

 

「結局これが一番よかった」というオチです。。。

 

こうして誕生した“私なりの定窯白磁”、ぜひ展覧会でご覧ください。

 

 

庄村健・庄村久喜作陶展 ー継ぐ、創る-

会期:2025年3月26日(水)~3月31日㈪

会場:日本橋三越 美術特選画廊

 

デジタルカタログを観ることができます→コチラ